先日、ある生徒さんからメールで「毎週レッスンに通っているのに、上達している実感がありません」といった相談を受けました。
その生徒さんは、毎回真剣にバレエと向き合っているのが、メールの文面からも伝わってきます。
この方のように、努力を続けているのに成果が出ないダンサーは多いのではないでしょうか?
今回の記事では、努力が報われにくいバレエのカラクリとその改善策をご紹介いたします!
Contents
バレエが上達しない理由
ここで説明するバレエが上達しない理由は、よくある「練習の仕方が間違っている」だとか、「練習量が足りない」といった、人によって差が生じてしまうことはお話しません。
もっと根本にある、バレエクラスそのものにフォーカスし、バレエクラスの構成上の問題点をご説明していきます。
1.考える時間が少ない
まずは、90分間のレッスンの中身を時間別に細かく分けてみましょう。
レッスン曲を流して踊っている時間が、バーレッスン、センターレッスン合わせて約60分間。講師が生徒に振りを渡す時間が約20分間。講師が踊り方について指導する時間が約10分間と仮定します。
あなたはこの90分間の中で、どれだけの時間、自分の踊りと向き合っていますか?
振り渡しの20分間は、必死に振りを覚えなくてはいけないません。
また、実際に音楽をかけて踊っている60分間は、覚えたての振りをなぞるように踊っていると、自分の踊りと向き合っているとは言えません。
ということは、踊り方について、学び、考えている時間は、講師から指導を受けている10分間しかないんです。
「じゃあ、講師が指導をする時間を長くしたらいい」と考えるかもしれませんが、指導時間を長くしてしまうと、バーレッスンやセンターレッスンの内容を簡略せざる得ないので、現実的ではありません。
このように、レッスン中に自分の踊り方について考える時間が少ないことが、バレエが上達しにくい一つ目の理由になります。
2.講師から直接指導を受ける時間が少ない
講師から指導を受けている約10分間を、さらに細かく分けてみましょう。
レッスン中に、講師が生徒さん全員に向けて伝える注意を約5分間と仮定し、講師が生徒さんひとりひとりに向けたアドバイスをする時間を約5分間とします。
このとき、生徒さんが20人参加しているバレエクラスだった場合、生徒ひとりが講師に直接指導を受けることのできる時間は約15秒しかありません。
バレエを普段習っている方はお判りでしょうが、実際には、講師から直接指導を受けることなく、バレエクラスが終了することはよくあります。
講師から直接指導を受けずらいレッスンの環境が、生徒のダンススキル向上へと繋がらない理由になってしまいます。
3.改善点はひとつではない
講師が生徒さん全員に「ピルエットを回るときは首をつけましょう」と言ったとします。
これを聞いたあなたは、首をつけるようにチャレンジするでしょうが、ここに落とし穴が潜んでいるんです。
そもそも、ピルエットは、『おなかの引き上げ』『ルティレの形』『ハイルルベ』『首のつけ方』『ルルべするタイミング』『アームスを開くタイミング』…..と様々な要素が複雑にかみ合って、初めて綺麗に回ることができます。
また、『首のつけ方』ひとつとっても、生徒さんによって、首のつけるタイミングが遅かったり、早かったり、焦点が定まっていなかったり、と、改善すべき点はバラバラです。
そのため、「講師の指摘通りに首を付ければ、ピルエットが回れる」と勘違いして、チャレンジしても、実は改善すべきところは他にあるので、上手く回れないことが多いんです。
ただ、講師の立場から申し上げると、生徒さんひとりひとりの改善点を限りある時間内にすべて指摘することは難しいので、バレエクラスの構成上、どうしようもないことなんです。
上達するための改善策
上記でご説明した、バレエが上達しない理由は、生徒さんの立場から見ると、一見どうしようもないことに思えますが、そうではありません。
バレエクラスの受ける意識を変え、上達しやすい環境をご自身で作りあげるために、ここでは三つの方法をご説明いたします。
1.振りを集中して覚える
「振りをしっかり覚える」ことが大事なのは、当たり前だと思われるかもしれませんが、その理由について考えたことはありますか?
その理由とは、単に振りを間違えないように踊るためだけではありません。
振りをなんとなく覚えた状態で、踊ってしまうと、「次の振りはなんだったっけ?」と振りの順序のことばかり考えて踊ることになってしまいます。
一方、振りがしっかりと頭の中に入った状態で踊れば、「ここのジャンプはつま先のアンデオールを意識しよう」といったように、自分の踊り方を考える余裕が生まれます。
この、自分の踊り方を考える時間を増やすことが、バレエの上達に直結してくるため、振りはしっかりと覚えなければいけないんです。
2.講師に積極的にアドバイスを聞きに行く
時間内にレッスンを進行させなければいけないバレエクラスの構成上、講師からの直接指導が少ないことが、生徒さんが上達しにくい原因のひとつと、説明しました。
ただしこれは、バレエクラスの時間内の話ですので、バレエクラスの前後の時間に、講師に積極的にアドバイスを聞きに行きましょう。
自分の先生と話す機会が少ない方は、なかなか勇気が出ずに聞きに行きにくいかもしれませんが、講師の立場から申し上げると、バレエを学びたいと思っている生徒さんがアドバイスを聞きに来たら、講師は皆喜んで指導をすると思います。(よっぽど変わった先生じゃない限り…)
勇気を出して、アドバイスを聞きに行く癖をつけましょう!
3.個人レッスンを活用する
普段バレエを習っている方でも、個人レッスンを受けたことのある方は多くないのではないでしょうか?
個人レッスンを受講した場合、振りをしっかりと覚えたことを講師が確認してから音楽を流すので、生徒さんは振り覚えに焦る心配はなく踊りに集中することができ、なおかつ、レッスン時間のすべてを、講師から直接指導してもらえます。
また、スタジオには生徒と講師の2人しかいないので、疑問に思ったことを気軽に聞くことも出ます。
このように、バレエが上達しやすい環境がすべてそろっているにもかかわらず、バレエの個人レッスンを受講したことがない人が多いのには理由があります。
それは、いざ個人レッスンを申し込もうと思っても、そもそも個人レッスンを受け付けている講師が少ないので、講師とレッスン料の交渉や時間と場所の交渉をしなければいけません。
当サイト、RETIRER(ルティレ)では、生徒さんが気軽に個人レッスンを受講できるように、サービスを展開しております。
詳しいサービス内容は「RETIRERについて」をご覧になってください。
まとめ
このように、バレエが上達しにくい理由は、ご自身の練習の仕方が間違っているのではなく、そもそものバレエクラスの構成に問題があります。
ただし、バレエのレッスン構成を変えることはできないので、まずは振りをしっかり覚え、自分の踊り方と向き合う時間を作りましょう。
それと同時に、たまに個人レッスンを活用することによって、講師から直接指導を受ける時間が増えれば、バレエの上達につながっていきます。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!