バレエコンクールに出場するメリットとデメリット

バレエコンクールとは、出場者のダンスのテクニックや表現力を採点することによって順位をつける一種の競技です。

国内におけるコンクールは、基本的には参加条件がなく、だれでも参加できることから、バレエを習っていると「バレエコンクールに出ませんか?」とスタジオの先生から打診されることがよくあります。

今回の記事では、コンクールに出場する予定がある方や、出場を迷っている方向けに、コンクールに出場すると、どんなメリット、デメリットがあるのかを解説いたします!

メリット

1.バレエの技術・表現力の向上につながる

ヴァリエーションとは「白鳥の湖の黒鳥のヴァリエーション」や「ドン・キホーテのキトリのヴァリエーション」といった、古典作品の一部分のことを指します。

それぞれのヴァリエーションには、普段のバレエレッスンでは練習しないような、上級テクニックがあるので、そういったものを練習することにより、技術力が培われます。

また、「白鳥の湖の黒鳥のヴァリエーション」では、王子を誘惑するような妖艶な表情を。「ドン・キホーテのキトリのヴァリエーション」では、スペインにいる人気者で活発な町娘を表現します。

そのため、しっかりと作品を理解し、それを表現する練習が欠かせないので、自然と表現力が身に付きます。

とくにこの表現力に関しては、普段のバレエレッスンでは練習する機会がないので、コンクール出場したときの大きなメリットといえるでしょう!

 

2.経験と友情が養われる

発表会などで披露する作品の場合、採点されることはなく、優劣もつきません。フィギュアスケートや新体操と違ってバレエが芸術と言われている所以ですね!

もちろんこれはバレエの素晴らしいことですが、教育という側面からみると、競争がない分、頑張ることを学ぶ機会が少ないのかもしれません。

一方、コンクールは、芸術でもあり競技でもあるので、努力したら報われる喜びを知る経験や、結果が振るわず挫折を味わう経験もできます。

また、同じバレエスタジオから一緒に出場する仲間がいれば、ともに戦うことによって、友情も育まれます。

これらの経験は、たとえいつかバレエを辞めるときがきても、今後を生きていく上での財産になります。

 

3.海外留学のチャンスがある

コンクールによっては、海外のバレエ学校の責任者が実際に来日して、入賞者や、気に入った出場者に対し、留学の許可スカラーシップ(留学費用の免除)を付与されることがあります。

もし、コンクールに参加せずにバレエ留学をしようとすると、行きたいバレエ学校に行ってオーデションに参加するか、踊っている様子を撮影して送るかなど、海外までの旅費や手続きが必要なのでたいへんです。

また、付与される留学許可には、数年間のバレエ留学以外にも、お試しで1か月ほど参加できるサマースクールまであります。

本格的なバレエ留学に興味がなくても、語学留学や海外のホームステイも兼ねられるサマースクールは個人的におすすめです。

ただし、エントリーするコンクールに行きたいバレエ学校のスカラーシップが取得できるのかどうかは、しっかりと確認しましょう。

 

4.舞台で踊れる機会が増える

プロのバレエダンサーになれば、年間で100ステージ以上踊れるようになりますが、バレエスタジオに通われている生徒さんは、多くても年に1度か2度ほどの発表会でしか舞台で踊る経験はできません。

バレエを習っている以上、美しい衣装を着て、スポットライトに照らされながら舞台上で踊ることに魅力を感じている人は多いのではないでしょうか?

コンクールに出場すると、割れんばかりの歓声はないかもしれませんが、素敵な衣装に身を包み、広いステージでひとりで踊ることができ、舞台上で踊る経験を増やすことができます。

舞台での経験は、自分一人ではどうすることもできない希少な機会なので、得られることも大きいはずです。

 

デメリット

 

1.ヴァリエーションしか上手に踊れなくなる可能性がある

上の項目で、「コンクール出場はバレエの技術・表現力の向上につながる」と説明しましたが、間違った練習をしてしまうと、ヴァリエーションでしか、自分の魅力を発揮できなくなるかもしれません。

とくにプロのバレエダンサーを目指している方の場合、プロへの道からどんどん離れて行ってしまう可能性があります。

これを説明するために、まずバレエの作品について理解しましょう。

バレエ団の古典作品に出演しているダンサーのうち、コンクールで踊るようなヴァリエーションを踊れるのは、主役と準主役合わせて、多くても5人程度です。それ以外の30~50人のダンサーは、コールドバレエと言われる群舞を踊ることになります。

主役級のダンサーのほとんどは、コールドバレエで経験を積んだのちに選ばれることが多いんです。

プロのバレエ団に入るためには、コールドバレエが踊れるかどうかを見られることが多く、たくさん回ろうが、高くジャンプできようが、あまり評価されません。

ではコールドバレエを踊るためのスキルとは何かというと、正確性と調和性です。

話を戻すと、コンクールのヴァリエーションで、たくさん回ったり、高く跳んだりすることに重きをおいて、地味な振りをないがしろにしてしまうと、見た目が派手でコンクールで入賞することはあっても、プロにはなれません。

もちろんテクニックのダイナミックさは重要ですが、その礎として、基礎の正確性を求めなければいけないんです。

もし、それができなければ、ヴァリエーションだけは見事に踊れるけど、作品には使えないダンサーになってしまいます。

 

2.お金と時間の負担が大きい
  1. エントリーフィー
  2. 出場する際の移動宿泊費
  3. コンクールレッスン代
  4. 衣装代
  5. お礼代

1番のエントリーフィーとはコンクール主催者に支払う参加費で、20,000円~40,000円が必要になります。

また、自分が踊っている様子を映像化されたDVDを買おうとすると、さらに数千円がかかります。

自分の住んでいる地域以外の場所で開催されているコンクールに出場する際は、移動宿泊費がかかります。自分の通っている教室から、そのコンクールに参加する人数が少ない場合は、同行する先生の分まで負担しなくてはいけません。

3番のコンクールレッスン代に関しては、教室によって差があるので一概にいくらと言うことはできませんが、1週間に1回のレッスンで月々15,000円程度はかかると思っていてください。

コンクールに出場するための衣装は、レンタルだと15,000円ほどですが、作るとなると100,000円~で、趣向を凝らした衣装を作ろうとなると300,000円ほどかかることもあります。

プロの視点から言わせていただくと、バレエコンクールの審査は衣装の綺麗さによる加点はないので、レンタルの衣装で十分です。

5番のお礼代とは、コンクール当日に引率してくださる先生に支払うもので、こちらも教室によってまちまちですが、1~5万円ほどを包まなければいけません。

また教室によっては、入賞したら追加分も支払うことがあるので、気になる方は、同じ教室内の、過去にコンクールに参加したことがあるお友達の親御さんに、尋ねてみるといいでしょう。

また、コンクールに出場するためには、ヴァリエーションの練習はもちろんのこと、日々のレッスンも欠かすことはできません。

となると、バレエにかける時間は多くなってしまい、学業へも影響が出てしまうかもしれません。

その点もしっかり考え、両立できるようにスケジューリングをしましょう。

 

まとめ

コンクールに出場すると、たくさんの経験ができると同時に、大きな負担が生じてしまうことがお分かりいただけたかと思います。

今回ご紹介した、メリットに関しては、生徒さんがコンクール受賞に向けて、しっかり努力した先に得られるものなので、「なんとなくコンクールに出てみたい」程度のやる気でしたら、デメリットしかないので、出場をおすすめすることはできません。

もし、本気でコンクールに立ち向かう勇気があるのであれば、心から応援させていただきます!

当サイトRETIRE(ルティレ)では、コンクール出場を目指す方向けに個人レッスンを行っています、詳しくは、こちらのコース案内をご参照ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

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